金環食の そのあとで…
         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 


      




思わぬ付け馬の存在があったため、
このまま しばし待機と相成った皆様であり。
テーブルに問題の人物が映し出されたPCを置いての さて。
まさかこの態勢でテレビやDVDを観るのも何だし、

 「職務質問というのは、まずいのでしょうか?」

所轄の警察へ電話して、
お願いしますと働きかけてはいけませんかと、
これも七郎次が提案したが、

 「確かに煙たがって逃げるかも知れぬが。」

そのくらいはこちらの二人も想定済みだったようで、
但しと、もう一方の可能性も拾い上げてらして。

 「逆に開き直って、
  ここに住む警察関係者が女性同伴で帰ってったとかどうとか、
  余計なことをばかり、供述書へ残るように言い連ねるやも知れぬ。」

公式文書にそういう記述をするからには、
事実かどうかの確認もされようし、

 “…アタシは構いませんけれど。”

だって今更ですものねと、
これまでの武勇伝を思い出した白百合さんらしかったけれど。
自分で言ってりゃ世話はない…じゃあなくて、
そういうのって記されたそのときだけでは済みません。
似たような事件が起きたり、
年齢層という帯で人捜しをすることとなったりするたびに。
関係者にあたりそうな人物を検索をするぞとなったおり、
今は特にコンピュータ検索で大量のデータを一気に浚える時代なこともあり、
山ほどのざっくりと拾い上げられる“資料”として、
何度も何度も触れられてしまうことになりかねない。
眸を通すのは機械じゃんと、単純に思うなかれ。
辞書を引いてて、
本来の目的じゃあない語彙にも
“あれ?”と目が留まることってないですか?
一応は人が管理し、操作するコンピューターなので、
検索画面が一応は出るシステムだと、
何段階目かの候補として検出されたおり、
こんな綺麗さんも資料にファイリングされてんだなんて
目には留まるやも知れぬ。
細かいなぁと閉口なさるむきもおありだろうし、
それが実際の支障になる例は、さすがに ほぼ無いっちゃあ無いのだが。
こちらへ居合わせる二人の殿方は
どちらも警察関係者なので、
却って…周囲の人間の目に晒されるんだよなという方向で、
気になりもするのだろうと思われる。

 「………。」

向こうさんもこっちを監視しており、
それをこちらでも監視するという、
何だか妙な睨めっこになってしまって幾刻か。

 「  あ、えっと。そうだ、何か作りますね。」

このまま愛しの壮年殿と
見つめ合ってのオール(注意;徹夜)も平気な、
女子高生の白百合さんはともかく。
あ、そういえば、
勘兵衛様も征樹様も、お腹空いてないのかなと。
そうと思いついたお嬢様。
お茶を淹れるだけじゃあ収まらぬと
もうちょっとお手間を掛けたくなったのは。
問題の“付け馬”さんが去っての落ち着いたら送ってもらう身、
でもでももうちょっと此処に居たいよおと、
健気な気持ちがそんな時間稼ぎを思いついたのかも知れず。

 「だが、大したものはないぞ?」
 「大丈夫ですって。」

えへへぇと微妙に含羞みながら、
覚えのあったタオル類用のキャビネットを開け、
そこに突っ込んであったエプロンを手に取ると、

 「久蔵殿から教わったのがあるんですvv」

昔のアタシほどじゃあない初心者でも作れる代物だから、
そっちもご安心をと、
楽しそうに向かったキッチンで、冷蔵庫を開けたお嬢さん。

 “あ、やっぱりあった♪”

忙しくとも、いやさ忙しい身だからこそ、
此処に戻るほどの休息が取れる状態ならばと、
そういう間合いについつい買って置くらしい、
がらんとした庫内に玉子とトマトだけは入っており。

 “昭和のお人だなぁ。”

そこは放っときなさい、シチちゃん。(笑)
賞味期限を確かめてから、トマトは皮つきのまま乱切りにし、
まずはと、ゆるく解いた玉子を
サラダ油を敷いたフライパンで半熟の手前ほどまで火を通し、
コンロから降ろすと後は余熱で、
粗い固まり状態のスクランブルエッグにして皿へ取り。
続いてトマトを手早く炒める。

 「ホウレン草でもチンゲンサイでもいいんですが。」

素材に合わせて、
鷄がらだしやコンソメ、
醤油だったりゴマ油だったりと味付けを変えれば、
バラエティも豊富に増える炒めもの。
そちらを仕上げたら、皿にあけ、
先程の玉子をトッピング気分で上へ重ねて、
菜箸やスプーンでざっくり一緒にして和えると、

 「おや。」

中華飯店のメニューに出て来そうな、
やわらかそうな玉子の黄色が目にも鮮やかな、
比較的ちゃんとした炒めものが出来上がる。

 『野菜炒めになったフライパンへそのまま
  とき玉子を入れ込んで一緒に炒め合わせるほうが、
  確かに手っ取り早いが。』

手慣れた人がやるならともかく、
まだ初心者がやると、
野菜から水気が出ていて ただただべちゃりとしかならぬ。
しっとり柔らかな出来映えを目指したにしては、
玉子もばらばらになってしまうか、
逆にまとまらなかった卵焼きみたいになってしまい、
見た目も今一つになりがちなので、

 『皿を一枚余計に使う、手間を掛ければいいだけのこと。』
 『そうそう、見た目もきれいですしね。』

平八も傍から言葉を添えてくれたこの調理、
七郎次にもその場で伝授され、

 『凄い凄い。見てくださいよう、久蔵殿vv』
 『……vv(頷、頷)』

言われた通りに初めて手掛けて、
これと同じ出来のがしっかと仕上がったんですよと。
誰自慢か嬉しそうに報告するのが、
エプロン姿なのといい ますます新妻っぽい七郎次なのへ。
心配して結局キッチンまでついていった警部補殿が、
そうかそうかとホッとしたような笑みを見せたその間合いへ。

 「あの……。」

ここはやはりわたしが囮になって来ますと、
リビングから遅ればせながらと
おずおずと顔を出しての声を掛けてきた征樹さんだったのも、
何とはなし頷けることだったような、
そんな朗らかさだったようでございます。(笑)




       ◇◇◇



せっかく作ったのですから食べてからにして下さいよぉと言われ、
それではせっかくですからと、
上司の未来の奥方の手作りという有り難いお料理を
お裾分けしていただきの堪能した佐伯さん。

 『…おお、火を通したトマトは初めて食べますが。』

トマトソースは煮込んであるから別物、
こういう形で食べたのは初だとやたら感動してくださり、
ではではと表へ出てった彼であり。
うまく釣り出せたかどうかは、
引き続きPCでご確認下さいませとにっこり笑ったからには、
何か自信のある策でも思いついたのか。

 “そのうち、策士の名もあやつらへ譲ることとなるやもだの。”

勘兵衛様…。
自覚してたんでしょうか、そういう見方をされてること。
それに“あやつら”って?
もしかして 時々 色々と策を講じもしておいでの
ひなげしさんとかも含まれているんでしょうか?
(苦笑)
そんなひねくれ曲がった心算なぞ
微塵も匂わせぬ涼しいお顔でソファーに陣取り、
征樹殿が置いていかれたノートPCの画面を
引き続き監視しておいでだったのだけれども。

  「  っ、きゃあっ!!」

そんなところへ鋭く轟いた声がある。
かちゃんという硬質な物音にかぶさったそれは、
キッチンのほうから聞こえ。
そうと解析する間もなくの俊敏に、
往年の(?)もののふ時代を彷彿とさせるような
それはそれは切れのある立ち居にて、
居間からキッチンまでほぼ数歩で駆けつけた勘兵衛だったのだが、

 「い…っ。」

如何したかと、
警戒に厳しく引き絞られたお顔で訊きかけた彼へ。
一目散にという描写が相応だろう、
途轍もない勢いのまま飛びついたのは。
わざわざ言うまでもなくの白皙の美少女、

 「七郎次?」

だったのでございまし。
怪しい付け馬の監視は勘兵衛一人に任せ、
使ったお皿や箸などを下げての、
手早く洗っていた彼女だったはずが、
一体何へとこうまで不審な行動を取ったかといえば。

   ………かさ、と

再び静けさが垂れ込めかかったキッチンへ、
かすかなかすかな物音がし。
それを聞いたからこそだろう、

 「………っ。」

壮年殿の懐ろへ
深く深く身を揉み込んでおいでのお嬢様の
細い肩口がひくりと見るからに震えたので、これはもう間違いない。

 「………出たか。」
 「〜〜〜。(頷、頷、頷)」

いきなり久蔵殿の真似が出たほどに、
ただただ何度も頷くばかりで、
言葉にならないほどの狼狽えようなのも無理はない。
本物の恐持て、その筋の構成員相手に
ああまでの大殺陣を繰り広げたほど、
折り紙付きで怖いもの知らずなこちらのお嬢様が、
唯一、例外的に世界一怖いとするもの。
不思議と前世でも同じレベルで大っ嫌いで、
戦火に煙る修羅場を駆け抜け、冷酷に朱槍を振るう猛者が、
なのに唯一小虫に悲鳴を上げるという弱点だけは、
何としてでも南軍その他へ漏らしてはなるまいぞと、
妙なところにまで一致団結していた島田隊だった…というのは、
もはやどうでもいい余談だが。(こら)
黒茶い武装の身軽で平たい憎い奴、
チャバネゴ●ブリが キッチンのどこかへ出没したらしい。

 「ほれ、とりあえずお主は向こうへ行っておれ。」

現場から遠いところへ退避せよと、
言っただけでは動けまいなと、
そこは経験もあってのこと、無理から引きはがす真似はせず。
まだ濡れたままの両の手なのも厭わずに、
小さな総身を自身の懐ろへと匿ったままでの移動をし、
誰もいない状態のリビングまで撤退し。
ほれ此処なら大丈夫だと、肩に手を置き離れかかったものの、

 「〜〜〜〜。(否、否、否、否)」

今度は懸命にかぶりを振って見せ、白い手が必死でしがみついてくる。

 「これ。退治してしまわねば落ち着けなかろうに。」

早く対処せねば、
シンク下やら収納家具の裏やらへ潜り込んでしまうと言いかかるのへ、

 「一人になるのはいやですっ。」

もしかしたら、
勘兵衛様が向こうへ行った隙にこちらに逃げて来るやも知れない。
そうと思うだけで…ということか、
不安を拭い去りたいかのように、再びその身を揉み込まれては。

 “……こ、これは困った。”

▲▲会の狂犬がナンボのもんじゃと
痛切に思った勘兵衛だったのは、またまた言うまでもないことで。
そんな半端でややこしい輩への対処に、
さっきまで此処にいた征樹を向かわせたことを。
今日の捕り物の大成功も相殺するほどの級で、
大きに悔いていた壮年殿。

 何しろ、こちらはシャツ一枚という懐ろへ、
 そこへ同化してしまいたいと言わんばかり、
 思い切りしがみついて来る七郎次なのだ。

ちょっぴりの洗い物だったからと言うことか、
エプロンは使わずの薄着の身のまま。
よって、十代の娘さんのそれ、
華奢で頼りなく、やわらかまろやかな肉付きが、
ほぼ密着というレベルでぎゅうぎゅうと寄り添っており。
それでなくとも好いたらしいと常々思っている相手。
愛らしい容姿や性格のみならず、
前世から持って来たらしい、
理知的冷静でよく気がつくところのみならず。
例えば、まだまだお子様な部分がつい出てしまい、
感情的な駄々を捏ねて膨れるところも。
自分でも上手く言えないらしいむずがりに頬を染め、
察して下さいと強情を張って退(ひ)かないところも。
新しく見せて下さる可憐なお顔も含めて、
勘兵衛にとっても、かわいくて愛おしくて仕方がない対象ではあるのだが。

 何しろまだ相手は高校生ですから

甘い香りのする髪も、
どんなにこつこつと鍛えていても、頼りなくも柔らかい肢体も。
まだまだ小さな存在ごと、
ぎゅうと抱き締めて独占したいのは山々なれど。
そんなことをしては怖がらせはしないだろうか、
いやさ、自分にだって そこからあらためての箍が嵌められるのだろうかと、
色々と不安材料が多すぎるがため、
大きく深い葛藤の末に、
こちらからは触れることさえ絶対禁止なはずの
恐ろしい存在と化してもいるお嬢さん。
だっていうのに、これはその。

  警察官でいられなくなるばかりじゃあない、
  人間失格とまでのレッテルを張られかねぬし、
  そうそう、あの久蔵から言語道断と斬って捨てられかねないぞと。

そこまでを形にし、
お念仏のように胸中にて繰り返し、
やっと何とか理性を繋ぎとめているというのに、

 「勘兵衛様…。」

此処からの進展がほしいというのじゃあなく、
純粋にまだ怯えておいでなのだろう。
頬をすりすりと寄せて来たそのついで、
ああこんなにも細い肩だったか手首だったのかという感触を拾ってしまい。
手を伏せたその狭間へとぎゅうっと押し付けられた胸元へ
そのまま形を想像してはならぬと思いつつも、
まだ少々青さを思わせるささやかさ、
なのに、ふんわりと柔らかな存在感を
ついつい察してしまうのは…男の性(さが)というものか。

  実は全然の全く、枯れてなんかおりません、勘兵衛様。

だからこそ、
人の機微が様々に入り組んだ様々な事件へも、
柔軟さをもって対処出来もするのだし。
解決させてもほろ苦い想いをせねばならぬような、
そんな軋轢だらけの日々の連続にだって、
流しはしないが立ち止まりもせずに、
前進し続ける彼でいられるのだ、というもので。

 “いや、この際は枯れた身の方が支障はなかったのでは…。”

そこ、泣き言は言わないっ。(おいおい・笑)
冗談はさておくとして、(まったくだ)
姿も見ず、気配だけで怖いと感じるレベルの代物が相手ゆえ、
きっちりと退治して排除してもらうことよりも、
今は 竦み上がった心持ちのほうを支えてほしい彼女ならしく。

 「………。」

何とか勇気(?)を振り絞り、
自身の懐ろを見下ろした壮年殿。
そのまま、大きな手のひらで小さな背中を撫でて差し上げれば、

 「…。」

カタカタと震えていたのが、やや和らいだ。
小さく吐息をついたほどなので、
これは随分と落ち着いたらしく。
まま、本当だったなら抱きしめてやった方がいい場面だというのも、
判りはするのだが、それだとこっちに危険極まりないものだから。
済まぬなと心の中で手を合わせておれば、

 「………。」

七郎次が何事か呟いた気がして、
お?と身長差のある相手へお顔を寄せかかったところ、

 「  …っ。」

しがみついていた手が緩み、そのまま足元へすとんと落ちかかる。
安心して気が抜けたのか、
だとしたらどれだけ緊張していた彼女なやらで。
そのまま頽れ落ちたら、膝なり脛なり怪我をせぬかと、
咄嗟に腕の輪をすぼめて受け止めた勘兵衛だったが。

 「………お〜い。」

そういえば、父上の傍づきでパーティーに出ていたとも聞いた。
その直後に当たろう先程は、そりゃあ見事な大殺陣もご披露いただいた。
それからそれから、
微妙な尾行者の出現により、多少は緊張もしたことだろうし、
そこへととどめを刺したのが、
そりゃあおっかないとする存在の出現とあって。

  よほどのこと、心身共に疲労困憊したものか
  そしてそして、
  勘兵衛の懐ろという
  至福の安全地帯にいることへ安堵しきったからか

何とも唐突に、
くうすうと寝息を立て始めていたお嬢様ではありませぬか。

 “おやまあ。”

手から力が抜けたのも道理と、
受け止めた腰回りを も少ししっかと抱え直すと、
大事に大事に膝の下へも手を通し、
相手に意識がないと気が大きくなるものか、
今度はひょいと姫抱きにしてしまえる現金さよ。
間近になったお顔へだって、
こちらからもまろやかに和んだ眼差しを向けられる。
するんとすべらかな頬に、やさしい緋色のしっとりした唇。
伏せられたまぶたの線も繊細で、
賢そうな額に今はややかぶさってもいる
金の髪の軽やかな色合いも、
あの厳しい時代だった前世にあったそれと
さして変わりがないはずだのに。
不思議とどちらも、
場に映えての麗しき、
凛として清かな存在感を保っておいで。
ただまあ、じっと見ていると判るのが、
今の七郎次はまだまだ青い果実の身。
瑞々しい存在であるがゆえ、
初々しさと引き換えに、ちょっぴり融通が利かぬところも多々あって。
我を張らずに言い抜けるための手管として、
いい意味での小ずるさを身につけていた大人の七郎次には、
意味深な思わせ振りを駆使出来るよな、
ほのかな艶もあったのが。
今の彼女には、当然のことながらまだ足りぬ。
そこが新鮮だったり待ち遠しかったり…。(おいおい、勘兵衛様)
そんな良からぬこと、微かにでも思った罰か、

 「…と。」

少しほど休ませてから送って行こうかと構え、
ソファーの上へと横たえかけたものの。
自分の身を起こそうとすると、
妙な感触で髪の先が何かに引っ張られていることに気づいた勘兵衛。
何だどこだと、自分と七郎次の間という空間を見回して、
ふと…見下ろしたワンピースの胸元の一角に、
自身の髪が引っ掛かってのこと
ツンと引っ張り上げている箇所があるのに気がついたものだから……。




      ◇◇◇◇



一応の努力はさんざん試みた。
とりあえず彼女をベッドへと降ろし直したのは、
狭いところでごそごそするより
作業しやすいようにと思ったからで。
どっちから巻きついて絡みついたものなやらと、
髪のほうを持ち上げて、
右巻きに回してみたり左巻きに回してみたりもしたけれど。
どうやらこれは、
上からかぶさりかかった後に斜め横へと引かれたことから
微妙に輻輳した絡みようをしているらしく。
そうかと言って、ただでさえ武骨な指では、
小さな小さなビーズの縫いとり糸へのからまり、
摘まむだけでも至難の業な上に。
極めて薄い生地への作業となるのだ、
あちこちへ触れずにおれるはずがなく。

 『…こういう場合はどうしたらいいのだろうか。』

うっかり忘れていた“尾行付け馬”を、
上手に釣り上げてくれたらしい部下殿に、
それへの報告はさておいてと持ちかけた窮状へ、

 『ハサミを入れたりしちゃいけませんよ?』
 『…良親か?』

成程、そういう助っ人も呼んだらしい征樹殿だったようで。
なに、おシチちゃんの代わりを用立ててほしいと言われたので、
地元のやんちゃが いちゃもんつけてあおっての注意を引いてから、
どさくさ紛れにサササッと車を出させるという二段攻撃で
事なきを得たまでですがと、簡単に報告下さってから、

 『パーティードレスの胸元なんぞに、
  金髪のおシチちゃんなのに黒い髪の切り屑が一杯なんて
  想像しただけでもぞっとしないじゃないですか。』

 『う…。』

勘兵衛様なら、
草野さんチの親御様たちだって
大人の知り合いとして信頼なさっておいででしょうし。
いっそこっちも警察の“公式”へ便乗して、
与太者にからまれていたので保護したと言い通しゃあいいんですよ。
相手は車に乗っていて、ご自宅まで尾行されかねなかったんで、
そのまま夜更の中を帰すのは危険だと思ったってね。
何なら今から電話で連絡して差し上げて…と。
どっちが警察関係者で年長者なやら、
それなりのアドバイスまでいただいて。


  そんなドタバタがあってのちの
  金環食の始まる朝を迎えたこちら様。
  さぁさ、
  太陽が隠れ切る前までに、どう言い繕えることなやら。






      〜Fine〜  2012.05.20.〜05.24.


  *正確には“金環食”の前夜の話が大部分だったので、
   タイトルに大きな偽りありなお話になっちゃいましたな。
   良親さんのご忠告どおり、
   警察官だわ、壮年だわということから、
   親戚のおじさんレベルで信頼されてる勘兵衛様なので。
   特に問題もなく、
   むしろお母様から
   “あらまあ、お手を煩わせてすいません”と
   電話越しでも届くほどの平身低頭、
   そりゃあ丁寧に謝られたほどだったりしてな。(う〜ん)

   そして、シチさんとしては、
   ヘイさんや久蔵殿へ、どこまで内緒で通せるのでしょうか。
   ……別に
   大人の階段を昇ったワケじゃあなかったんですがね。
(大笑)


  *今月は女子高生に終始した感のあるお侍様のお部屋ですが、
   他人様からお借りしたふんどしですのにねぇ…。
   でもって、
   活劇シーンが多いのもこの話というのが何ともはや。
(苦笑)
   保護者の皆様から呼び出される日も近いかもです。

ご感想はこちらへvv めーるふぉーむvv

メルフォへのレスもこちらにvv


戻る